Synthesizer V Studio 1.10.0b2 アップデート
本日、Synthesizer V Studio 1.10.0b2をリリースいたしました。
今回のアップデートは、2023年8月にリリースした1.10.0b1に続く、2度目のベータ版です。
最新技術RLHF(ヒューマンフィードバックによる強化学習)の歌声合成への適応を試みた1.10.0b1発表後、エディタ内でユーザーの皆様からご回答いただいた内容を元に、その結果を反映した歌声データベースの強化を行いました。
その他、ユーザーの皆様から寄せられた不具合などのフィードバックからいくつかの改善を行いました。
Synthesizer V Studio 1.10.0b2は、文末のリンクよりダウンロードいただけます。
また、ピッチモデルの改善をお試しいただくには、最新のベータ版歌声データベースも同様にダウンロードしてください。
フィードバックを反映したピッチモデル
前回のアップデータ1.10.0b1では、歌声合成エンジンがRLHFに対応し、ピッチ生成が強化されました。また、AIリテイクの好みのテイクを任意でフィードバックしていただく機能を導入しておりました。
こちらのフィードバックを元にノート間のピッチ推移や、ビブラードの出し方がより自然な歌い方へとなるよう改善を行ないました。
声色の再現度が向上
今回のアップデートでは、発音の間違いが大幅に改善されました。さらに、音色の表現力が豊かになりました。
また前回のベータ版アップデートで、一部のデータベースにボーカルスタイルによる変化がみられない現象が報告されました。今回のアップデートでは、より変化を感じていただけるよう、改善を行いました。
ユーザビリティの改善
ひとつのノート内で音節が均等に
今回のアップデートでは新機能として、1つのノート内で、音節が均等になるように割り当てる機能を追加いたしました。
従来ですと1つのノートに1つの音節が割り当てられることが主な使用方法でしたが、新機能を使用することでテンポの速い曲などの作曲の際に、よりスムーズな操作が可能です。
自動で形を変えるツールバー
新機能の追加などにより、ピアノロールのツールバーが複雑化してきました。
ウィンドウの作業スペースが限られている際にビューアイコンが出現し、ポップアップメニューから、より多くのツールを利用することが可能になりました。
新機能へのアクセス方法
Synthesizer V Studioと歌声データベースのベータ版は、別々にリリースされます。
Synthesizer V Studio 1.10.0b2について
1.10.0b2はベータ版です。ベータ版では、Synthesizer V Studioに実装予定の新機能をいち早くご試用いただくことができます。本バージョンのご利用を開始する前に、以下の点についてご理解ください。
- 本バージョンは開発途中であることをご理解の上ご利用ください。
- 本バージョンは環境などにより正しく機能しない可能性があります。
- 本プログラムのご利用に際し、予期せぬ不具合が発生する可能性がありますので予めご了承ください。
Synthesizer V Studio 1.10.0b2はこちらからダウンロードできます。
Synthesizer V Studio 1.10.0b2向けベータ版歌声データベースのアップデート
今回のベータ版リリースでは、下記の歌声データベースを対象としたベータ版アップデートを提供します。
Dreamtonics | An Xiao, Cheng Xiao, Cong Zheng, D-Lin, Feng Yi, Kevin, Lin Lai, Mai, Mo Chen, Natalie, Ninezero, Ritchy, Ryo AI, Saki AI, Qing Su, Weina, Xuan Yu, Yuma, Yun Quan |
AHS | 弦巻マキ AI (日本語), 弦巻マキ AI (英語), 京町セイカ AI, ついなちゃん AI, 重音テト AI, 小春六花 AI, 夏色花梨 AI, 花隈千冬 AI, 桜乃そら |
Animen | エレノアフォルテAI |
AUDIOLOGIE | ANRI(杏里), JUN |
E-Capsule | 夏语遥 |
Eclipsed Sounds | SOLARIA, ASTERIAN |
Quadimension | MEDIUM5・星尘Infinity |
それぞれの歌声データベースはこちらからダウンロードできます。
詳しいリリースノートは以下をご覧ください。
Synthesizer V Studio 1.10.0b2 (2023年9月28日)
新機能
- 自動処理:RLHFによりピッチ生成を強化したピッチモデルに対応しました。また、AIリテイクパネルのピッチにおいて補正の程度を調整できる”RLHFによる補正”パラメーターを追加しました。(歌声データベースの更新が必要です)
- トラック:トラックのヘッダを右クリックすることで、右クリックメニューからトラックの色を選択できる機能を追加しました。
- ピアノロール:選択した音符の歌詞を前方、または後方にシフトすることができる機能を追加しました。
- AIリテイク:ユーザーが、AIリテイクの気に入ったテイクにハートマークをつけることによって、ユーザーフィードバックの送信が行えます。
頂いたフィードバックはDreamtonicsへ送信され、今後の歌声データベースのアップデートに役立てさせていただきます。送信される内容はテイク内容とその前後の一部のプロジェクト情報に限られ、本機能は設定パネルより有効/無効を切り替えることができます。 - ノートプロパティパネル: 複数の音節を持つ歌詞が入力されたノートでオプション”ノートを音節で均等に分割”が選択できるようになりました。(1.10.0b1から変更)
機能強化
- Synthesizer V エンジン: 音素の長さ生成の改善、およびAIリテイクの声色テイクで多様なテイクが生成されるような改善を行いました。(歌声データベースの更新が必要です)
- AIリテイクパネル:グローバルの”表現の強弱”と”RLHFによる補正”の値が常に表示されるようにパネルのデザインを変更しました。グローバルの値はトラックおよびグループごとに設定できます。
- プラグイン:AUおよびVST3プラグインにおいてドラッグ&ドロップによるMIDIファイルのインポートに対応しました。
- その他: 中国本土からのアクティベーションサーバーへの接続性を改善しました。
- GUI: ピアノロールの可視化オプションが、十分な表示スペースが無い場合にまとまるようになりました。(1.10.0b1から変更)
動作変更
- AIリテイクパネル: テイク一覧の”表現の強弱”と”RLHFによる補正”のスライダーが相対値から絶対値(グローバルの値と合計した値)を表示するようになりました。
- ファイル:Synthesizer V Studio 1.10.0以降で保存されたプロジェクトは、テイクの”表現の強弱”の値域が変更されたため、互換性がありません。そのため、本バージョン以前のバージョンのSynthesizer V Studio向けにプロジェクトをエクスポートする場合はメニューの”ファイル”に”名前をつけて保存(バージョン1.9.0互換)…” を利用してください。
バグ修正
- Synthesizer V エンジン:前回のアップデートで導入された辞書の変更に起因した歌声データベースのクラッシュおよび品質が低下する不具合を修正しました。
- GUI:macOSでいくつかのキーボードショートカットが正しく表示されていない不具合を修正しました。
- ライブレンダリング: 起動直後にレンダリングを読み込むと、プロジェクトの一部がスキップされる不具合を修正しました。
- 自動処理: ノートグループ内のピッチ計算がピッチカーブで不要な変化が発生する不具合を修正しました。(1.10.0b1から変更)
- ライブレンダリング: サポートされていない歌声データベースを読み込む際のクラッシュを修正しました。(1.10.0b1から変更)
- 歌詞入力: 日本語のノートにマニュアルで“cl”音素を指定し、”-”を入力したノートを続けると無音になる不具合を修正しました。(1.10.0b1から変更)
- 歌詞入力: “自然に子音発音を弱める”オプションを使うと手動で指定された音素が上書きされるバグを修正しました。(1.10.0b1から変更)
- プラグイン: Windows上の一部のDAWとの互換性が壊れるバグを修正しました。(1.10.0b1から変更)
- プラグイン: AudioUnitプラグインを使用して特定のDAWからオーディオをバウンスした後に再生が同期されない問題を修正しました。(1.10.0b1から変更)
- AIリテイク: フィードバックを初めて提出する前のポップアップメッセージの表示位置を修正しました。(1.10.0b1から変更)
- AIリテイク: OpenGLがオンのとき、”表現の強弱”の値がアイコンと重なる不具合を修正しました。(1.10.0b1から変更)
- GUI: トラックパネルをピアノロールの下に折りたたんでエディタを終了した際に一部レイアウトが保存されない不具合を修正しました。(1.10.0b1から変更)